近年、世界的にサステナブル建築への関心が高まり、建物の環境性能を可視化する評価制度が注目されています。その中でも、米国グリーンビルディング協会(USGBC)が提供するLEED(Leadership in Energy and Environmental Design)認証は、世界186カ国に普及しており、最も影響力のあるグリーン建築認証制度の一つです。
本記事では、LEED認証の国際的な普及状況と、特に成長が著しいアジア市場に焦点を当てて解説します。
米国を中心としたグローバル展開
LEED認証の市場として最大規模を誇るのが米国です。総床面積の約40%を占める圧倒的な実績の背景には、政策支援や民間の積極的な導入姿勢があります。USGBCは毎年、米国外のトップ10市場を公表しており、最新の動向では中国、カナダ、インドが上位に名を連ねています。
アジア圏におけるLEED認証の進展
中国:圧倒的シェアと急成長
中国は米国外で最大のLEED市場です。もともとは多国籍企業が主導していましたが、現在は中国企業自らが導入を推進しています。特筆すべきは、マクドナルド中国による取り組みです。同社は900店舗以上にLEED認証を取得し、2024年には認証面積全体の半数近くを占めました。
さらに、物流施設でもLEED認証の取得が進んでおり、シンガポールのファンド「Mapletree」は300棟以上の倉庫で認証を取得しています。
韓国:国際的な商業市場としての存在感
韓国では、2024年の新規認証プロジェクトの84%が既存ビルであり、20%が物流施設です。国際的な商業不動産市場としての特性を活かし、グローバル資本の流入がLEEDの普及を後押ししています。代表例として、ブラックストーンが所有する「Skybox」施設はLEED Gold認証を取得し、再認証も成功させています。
香港:ポートフォリオ認証の流れ
香港ではこれまでインテリア単位での認証が主流でしたが、最近では建物単位からポートフォリオ単位での認証へと移行しています。特に「Taikoo Place」は、LEED for Communities Gold認証を取得した香港初のプロジェクトとして注目を集めています。
台湾:製造業と金融セクターの貢献
台湾ではTSMC(台湾積体電路製造)が自社工場でのLEED認証を推進し、2024年には全認証のうち36%が製造業関連施設でした。また、玉山銀行などの金融機関も積極的にオフィスや支店でLEED認証を取得しており、持続可能な投資環境の整備が進んでいます。
日本市場の躍進
日本でも、近年LEED認証の取得が急増しています。2024年末時点で347件のプロジェクトが認証を取得し、前年に比べて認証面積は126%増加しました。特に倉庫や物流施設が成長を牽引しており、GLPやTSMCの工場が代表例です。
また、小売、ホテル、データセンターなど、多様な業種への拡大も見られ、シックスセンシズ京都などのプロジェクトがその象徴です。
今後の展望と日本への示唆
グローバルでは「LEED for Cities and Communities」という都市や地域単位の評価制度も広まりつつあります。この制度はSDGs(持続可能な開発目標)に基づき、都市インフラ、交通、廃棄物管理、住環境、エネルギー、温室効果ガス排出などを包括的に評価します。
都市単位での持続可能性の追求は、建物単体の省エネ化だけでなく、街全体の質の向上を目的としています。日本でも「ゼロエミッション東京戦略」などを背景に、今後こうした取り組みが求められていくと考えられます。
まとめ
LEED認証は建物単体の環境性能を評価する枠組みから、都市単位の持続可能性を支える制度へと進化しています。アジア圏では中国・韓国・台湾・香港・日本と、それぞれの国の特性に合わせた導入事例が増加しています。
今後、日本においても企業や自治体がこうした国際基準を活用し、持続可能な開発と経済性の両立を目指す動きが一層強まっていくでしょう。
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